2010年5月11日火曜日

アイドル総力特集(2)今あえて再評価!SPEED勢ソロワークス•コンプレックス!(最終回)

SPEED勢各々のソロワークスの中から飛び出した隠れた名作をピックアップしていく
短期集中連載の最終回!今井絵里子&HITOEの数少ない(失礼!)傑作をまとめて評論!

★今井絵里子編


思えば最もSPEEDカラーを踏襲し引き継いだのが絵里子でした。
「Eriko with Crunch」プロジェクトがスタートして以降、
SPEEDのシングルのカップリングとして2曲のソロナンバーを発表していたものの
単独でのシングルで正式ソロデビューしたのがメンバー中最も遅かったのも意外な事実。

そして3rd「in the Name of Love」で「今井絵里子」名義へと。。

どうにもゾンザイに扱われてるような、急場しのぎを感じさせる過渡期的シフトが
当時から疑問に思ったものです。そもそも「with crunch」ってなんだよって言う。
(蛇足ながらcrunchの中には後のAI-SACHIのSACHIKAちゃんも居たりしますが!)
楽曲的にも良く言えば、安定感がありSPEED自体のファンを最も受け入れ易い、
悪く言えば無難で安全パイで、目新しい要素が無い。。
そもそも楽曲的にSPEED時代と変わらなければ、
人数が減ったと言う絵的なマイナスしか強調されないんじゃないでしょうか?

それでも、グループに置ける彼女のスタンスを思うと、コレで良かったのかもと思います。
きちんとしたアイデンティティーを持ちつつも突出した何かを持った個性派な顔ぶれのメンバーの中あえて「普通」を振る舞うというか。
それを思えばSPEEDイズムは絵里ちゃんソロの中で補完されていたと見るコトも出来るし
解散に一番消極的だったのも、復活に一番積極的だったという話も裏付けるし!

彼女以外のメンバーが各々の方向に突き進む中、
SPEEDが培って来たモノを一身に守った姿勢は評価したい。
伊秩作品との相性も一番良い気がするしっ!

そんな中賭けに出たと言っていいのが、4th Single「identity」!


hiro同様に葉山シフトへと進み、過去の幻影に縛られて凡庸になりつつあった
3rdまでのキャッチーな流れも残しつつ、ロック要素を全編にまぶし、当時の現行的要素を配し
言うなれば「今後コレで私は戦って行きます」というような、
他の誰でもない「ソロ今井絵里子」の世界観を構築し始めます。

また当時ルックス的にも格段に色っぽくなり、音楽番組でこのナンバーを披露した際の
ロックファッションも非常に決まっていたと記憶しています!

この後も、再び伊秩ワークに戻った5thを例外として
絵里子のダンスポップにはあくまで尖った要素というのが
申し訳程度に配されているという特徴を全うして行きます。

それは、同時にアクターズスクール的としか言いようの無い、
どこか「ボーイッシュ」で「スポーティー」な爽やかさ、歪さでもあり、
SPEEDの空席を鮮やかに埋めた初期BoAなどにも受け継がれている要素かと思います。

この尖った表情こそが彼女なんだと、ようやくソロに置ける確たる世界観を提示しきったのが
6th singleであり、avex移籍後の第一弾シングルでした。


ほんとに音楽的には無知なため、キチンとした専門用語で語れないのが歯痒いんすが
一聴して誰もが一瞬は戸惑う、ギラギラ、チャキチャキした打ち込み音、
ちょっとアジアンフレーバー?

そして、絵里子のキュートさでカバーしたラップパートの面白さ
キャッチ—なメロディーとセクシーなサウンドが絡み合いウネリ合い、
妙なグルーヴへと昇華されたこのナンバー
兎に角この前衛性、これだけエレクトロ〜テクノポップが市民権を得まくってる現在でもなお
この鮮度が損なわれてない事実はホンモノでしょうっ!当時ネットでも話題になったのも頷ける!
間違いなく彼女のソロ最高傑作!

これ以降も一時まではコンスタントな活動を続けて行った彼女ですが、
彼女もまたベスト盤を持って一応の一区切りを見せました。
それと前後しプライベイトでも、妊娠〜SPEED結婚〜出産〜育児〜SPEED離婚、
と山あり谷ありに駆け抜け、そこでもやはり、SPEEDイズム!?

今現在はグループとしての活動の傍ら、avex内のインディーズレーベルで「elly」名義でCDを発表している様子。
「Don′t stop the music」で提示したアイデンティティーを一切排除した
個人的にはちょっと魅力を感じにくいアコースティック路線もなんだかなぁ。。
まぁ、規模はどうあれ、コアなファンに支えられ幸福な活動を送っていけてるのは間違いなく良きコトでしょう。

ただ、メインボーカルとして中心的役割を担った彼女がこうして今振り返れば
結果一番地味というのは少し切ない話。

そこ行くとHITOE、人気だとかなんだとか言って行けばアレなんでしょうが
方向性のよくわからないアイドルとしては非常に歪んだ個性を放出しボクを筆頭に
熱烈なコアファンを生み出した彼女の、「攻めの地味」はまさに絵里子とは超対照的!

★HITOE編


そもそもSPEEDの音楽的な魅力って、ブラックなサウンドを下敷きにしている
まさに「TLC」「ジャネット」チルドレンと呼ぶべきスタンス、「着せられ」てる訳でなく
そもそも自分たち自身のルーツにそう言ったサウンドがあってっていう意味では安室奈美恵以上の資質。
SPEEDフォロワーたちも、そこも含めて憧れた部分も多分にあるでしょう。

「HITOE′S 57 MOVE」名義でスタートした彼女のソロプロジェクトは
絵里子とは違った意味で、そう言ったベースにあるSPEEDイズムを発展的により進化&深化させたアプローチで
彼女のルックスや趣向(たとえばファッションやヘアメイク、クールなイラストレーションなど)
との食い合わせから逆算し、見事なシンクロ率!
丸みのあるキュートな表情のボーカルとのギャップもここでは「新しいグルーヴ」として機能してる点も
ディレクションの妙に素直に拍手。
伊秩氏のプロジェクト「HIM」のカバー曲である本作「INORI」も完全にHITOEカラーに染め上げちゃってます!

グループ解散後もこの路線でグイグイ突っ走ってくれるコトを願っていたにも関わらず
しかし2002年つつましやかにリリースされたシングル&アルバムまで待たなくてはいけなかったのは
憤りを通り越して激怒のレベル!


シングルカットされた「I Got You」は、「INORI」からまたさらに
発展的により本格指向に寄ったブラックテイスト!
同路線のR&Bシンガーとも戦えそうな個性と強度を誇っています。

ここでひとつ仮説を唱えると、あの時グループが解散していなかったらSPEEDとして
こういう路線に脚を踏み入れる時が確実に来たはずです。

そしてそれはSPEED復活後第2弾シングル「S.P.D.」の方向性へと直結していったのではないでしょうか?


つまる所、本来「こういうコトが出来る素材」が、凡庸なポップスに踏みとどまってて貰っては困るという話。
当然「老若男女、誰もが安心して聴けるキラキラした応援歌」は引き出しの一つとして
SPEEDに絶対に持っていて欲しいパーソナリティーではありますが
そろそろ本格的に「カッコいいSPEED」を打ち出して行って良いはずです。
それこそセールスなんて気にもとめずに!

アメリカの古き良きブラックミュージックを聴いて育ったはずのアクターズ勢が安室ちゃんを覗けば
ただ「歌えて踊れる」だけの存在に甘んじていていいハズもないでしょう。
志半ばで空中分解を余儀なくされた若きフォロワーのためにも、今なおこうして輝いてるSPEEDが
出来るコト、それを全うするコトを大事にして欲しい、と。

hiro、上原多香子、今井絵里子、HITOE′S 57 MOVEのそれぞれがそれぞれの方向性に突き進んで成果をあげてきた
あの頃のモチベーションを、単純に“×4”した本気のパワーを是非、心を込めて期待したい所存!

毒舌で始まり、毒舌で終わる今回の総力特集。
でも愛してるからこそ!期待してるからこその確かなメッセージとして受け取ってもらえたら。

そして、どうかソロ時代にも日の目を浴びれなかったいい作品が眠っているコトを確認していただけたらと願い
SPEED勢ソロワークスコンプレックス、完。

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