2010年5月11日火曜日

アイドル評論(15)Buzyコンプレックス



賢明なるアイドルファンの皆様なら、知ってる方も多いでしょう。
こちら「Buzy」(ビズィー)。
LeadBOYSTYLE、最近ではBRIGHT、清水翔太等を輩出し続ける
由緒正しき養成スクール「キャレス」で鍛え抜かれたダンス、ボーカルも含む
圧倒的な総合的スキルと、独自の世界観のJ-POP〜アイドルダンスポップを武器に
躍進を続けながらも、残念ながら大ブレイクならず、解散してしまった6人組ユニット。

現在は各々別個の形でショービズ界に身を置いてるメンバーもいるようですが
このBuzyというプロジェクトだからこその強度と言うモノを見過ごすコト無く
キチンと記録ではなく記憶にとどめられておくべき逸材だったという事実は
少なくともアイドルミュージックを愛するすべての人の共通認識として置きたい所!

あえて今、このBuzy。再評価して行きたいと思います!


そもそも母体となったのは1999年上述の「DOUBLE OR NOTHING」でデビューした
女の子4人組ユニット「COLOR」でした。
当時としても、このダウナーなダンストラックというアイドル作品としては些か地味なパッケージングであるコトや
当時雨後の筍の如く乱発されたモロSPEEDフォロワーのうちの1組という程度の
認知しかされず、全うな評価を得られない不運に見舞われます。

アイドルをディレクションするノウハウのない「Amuse」だったコトも
関係してるのでしょうが、その点逆に言えば思うようなセールスやブレイクに
繋がらずとも、というかほぼ反比例するが如くに音楽的強度は経歴を重ねるごとに
増して行きます。即切り捨てなかった点も含め
事務所サイドに、いわゆる「アイドルだからこの程度で!」的な勝手な見切りは
微塵もありません。
方や、あえてスキルを絶対的要素としないモーニング一味の全盛の真裏に
身を置かなきゃ行けないタイミングであったコトに対する反動としての
ここでの他では得難いクオリティーは褒め讃えられておくべきではないでしょうか。

この当時の一押しは、元プリプリ奥居香による熱いミディアムバラッド
翼がなくても」や、後のBuzyのクオリティーを大きく支えるコトになる
ポルノ•ハルイチによるリリックが冴える「Rav&Business」、
FLYING KIDS浜崎貴司氏作詞の「あなたを愛す私を愛す」など多数!


しかしその後メンバーの1人、門田こむぎが学業優先のため脱退。
(ちなみに、あのもんたよしのりの娘さんだったりします。)
新メンバーを3名増員し(dream同様、モーニングの後追い的な!)ユニット名義も「Buzy」と改め
再出発を果たします。
ショッピングモールなどでのイベントを地道に周り、
スキルと根性はますます磨かれて行く雑草魂はdreamと双璧を成す所でしょう。
それもひとえに、他社参入を許さない、ハロプロ市場独占時代への反発への悔しさ、苦しさ
スキルがあればなんとかなる世界じゃないのよっ!とわかりつつ、それでもソレをバネに
大活躍してくれる日を夢見ていました。

このBuzyをはじめ、当時のAmuse所属アイドルを十把一絡げにし
「BEE-HIVE」と言うハロプロ的なアイドル集合体を形成し、合同でのコンサートなど
チーム一丸となって、ハロプロ帝国に立ち向かったりもしました。

その中にはこちらも今は亡き「BOYSTYLE」や、何を隠そうあの「Perfume」も
組み込まれていた訳です。Perfumeにも共通するこの、当時の現行アイドルポップシーンとの「絶妙なズレ」こそが
後の音楽的完成度へと直結し、また、たとえば浅はかにモーニング娘。をフォローするような
「居直り」も一切するコトなく、独自の音楽的戦闘能力だけで着実にシーンへとアプローチを仕掛けた、
と言ってもはや何の差し支えもないでしょうよっ!

やはりいつだって音楽的な面白さが、音楽シーンの新たなカウンターとなる。というのは
字面だけで言えば至極真っ当な話ですが、純粋に耳から入ってくる情報だけで
判断してもらえないのがニッポンの音楽業界だというのも事実な訳です。

言ってみれば、2000年代のハロー!プロジェクト全盛期に置いて
乱暴な言い方をすれば「ハロプロじゃなければ、ホンモノじゃない」的な空気が
全然大袈裟じゃなく確実に存在していました。
言わばそんな閉塞感漂うアイドル音楽産業のシステムと戦う戦士なのです!彼女達は。
(そして戦友の「死」を胸に、Perfumeには責任を持って頑張って頂きたい訳でもあります。)

そうして苦難の末、2004年ついに、シングル「鯨」でのメジャーデビューを果たしたのでした!


どうでしょう、もうこのミュージックビデオ1本で、
彼女達の本質はほとんど捉えられるのではないでしょうか?

J-POP以上に超J-POPど真ん中なクオリティー!キャッチーかつドラマティックなメロディー、
ポルノグラフィティ晴一による、幾重にもメタファーを重ねた衒学的で哲学的で、物語性漂うリリック、
ポルノ布陣な、本間昭光氏に寄る端正なアレンジ、全てに置いて一点に集中して行くような
エネルギーを感じるスピード感いっぱいの名曲。

当然忘れちゃいけない、メインボーカルを張る當山奈央のハスキーがかったセクシーなボーカルも絶品!
本間&ハルイチ作品とも高相性。

またダンスのきれ、押さえ込まれてた欲求が一気に爆発したような勢いに満ちています。
あと細かい所ですが、モノトーンでかためた衣装やヘアメイク
そして白黒加工のビデオ自体の仕上がり、どれをとっても「アイドル作品」という
パッケージングにとどまらない着地に感じる、
前述の「勝手な見切りを一切感じさせない」気概をこそ買いたい!

その後も、同じ布陣、同じベクトル、同じクオリティー水準をキープして
マイペースながらリリース攻勢は続きます。


一定の水準で楽曲が毎回ちゃんと飛び出してくるという
「アベレージ」への安心感こそ、このジャンルに置いておおよそ求めにくい点な訳で
この短期間の出来事では合っても、そこを軽々超えたBuzyは偉い!
(そんなのが達成出来たのは、他に黄金期のモーニングや初期松浦、それこそPerfumeぐらいしかっ!)



そして唯一のオリジナルアルバムにして
このジャンル史上BEST10に食い込む名盤アルバム「Buzy」へと続いて行きます。

Buzy 1st ALBUM「Buzy」

COLOR時代のセルフカバーあり、カップリング再録あり、メインボーカル•當山奈央ソロ名義での旧作まで
入れれるもんはすべて入れたようなお手軽そのものなプロダクションでありながら
まるでライヴでの流れを意識しているかのような滑らかなトラックリストの配列の巧さによって
全然聴けちゃう、愛すべきアルバムです。
そして、とにかくアイドルという枠では語り尽くせない
大きな魅力に溢れた愛すべき存在でした。

しかし、このアルバムの発表から半年後2006年6月突如解散となりました。。。
このまま埋もれさせるのは、やるせなさすぎる気持ち
わかって頂けるのではないでしょうか?

きっと長いアイドル史の中では触れられずに通り過ぎられていくのだろうケド、
あなたがこれを聴くなら、聴いたその日からあなたの音楽史には
それなりになくてはならないモノになるハズ、きっと!


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