「歌手」を本業としないシンガーが、何かの思いつきか
ちょっとした“悪ノリ”なのか、音楽活動を行うというのは古くからありますが
意外に嬉しい拾いモノがあるのも、この類いの魅力であり
本業のシンガーが「アイドル的に見られたくない」一心で回避するようなスタイルでも
本業じゃない=言わばある種の“ギャグ”だからこそ可能な自由度であり、
「アイドルではない」コトを周りがキチンと把握しているからこその安心感もあり
結果、偶然の産物的にクオリティーにつながるというのが
そんなマジックを起こす方程式なのではないでしょうか?
最も、個人的にはアイドルに見られないようになんてチンケな狙いが
そもそも気に入らないのは重々あるんですが
結果的に音楽的に面白ければそれでいいんじゃん?
それでいて、本業としてのイメージに沿うか、もしくはそこをあえて裏切るか。
そもそものイメージがあるからこその面白さも確かなモノ。
片瀬那奈なんてまさにその例であり
2010年現在の現行アイドルポップが「箱庭」化を強め、退屈になりつつあるのに対し
こういう試みこそが、音楽シーンを活性化し、
アイドル音楽ファンを高揚させてくれる存在であると。
そこ行くと、今回取り上げる梨花!
「sweet」や「ジゼル」読んじゃってるようなOLから、
バラエティでの親しみ易いイメージに好感を抱くみな様まで
つまり雑誌媒体〜お茶の間レベルで認知された梨花像を巧みに利用した
華々しい歌手活動は、アイドル的でありながら音楽的に面白いに決まってる、と。
そして当然のように、それは期待を裏切らなかったのでした。
バリバリのバラエティタレントとして大躍進し、今みたく9割型モデル業に照準の絞っていない2006年当時
ほぼ悪ノリ的に「Rinka」としてリリースしたのが本作でした。
狙い所も落とし所も、過不足なく「80′ S」だというコトは明らかでありながら
一貫してそんな悪ノリの効いた、言わば本気の遊びが素晴らしい着地を見せています。
それは、KYLIEあたりを模範としたキラキラポップサウンド全開の楽曲も悪くないんですが
それが凡庸に思える程、ていうか、BGMに思える程
ミュージックビデオが笑っちゃうぐらい力が入っている!
何より「あの梨花が」やってるコトだけで、十分な説得力につながる、と。
衣装、ヘアメイク、ダンス、セット、そして被写体の表情のイキイキ具合ったら!
あの梨花だからこそ出来たネクストレベルのクオリティーでしょう!
彼女のフォトジェニックとしての才能もキラキラと開花しちゃってます!
正直この路線を続けて欲しかったため、続くシングル「MARIA」のポップロックには若干肩すかしだったんですが。。。。それでも改めて聴けばなかなかの佳曲♪
こちらカバー曲だそうですね。
ロック風味なアプローチが梨花の丸みのあるボーカルとギャップがあって面白い。
非常に可愛いく、勢いがあって、ちょっとせつなさもあったりしてナカナカ。
カップリング曲「smile」共々
梨花のボーカルを活かした仕上がりで、意外とあなどれない。
そして歌詞の世界観的には、前作の応援歌的スタンスを引き継いだ格好で
前作に置いてそんな歌詞の「ぬるさ」こそが気になった層には、やはり退屈に聴こえるでしょう。
でも背景にある “一歩踏み出す勇気がなくて、結果ばかり気にして楽しめない自分がいや。”
と、リリースを決意した梨花の健気な胸中(当時のブログより)を思って聴くと、
と、リリースを決意した梨花の健気な胸中(当時のブログより)を思って聴くと、
なんだか人情としてちょっとホロリきちゃう自分がいますよね。
そして「そういう聴き方」を「してもらえる」所もまた、本業じゃないシンガーのメリットかと。
アートワークのナイスさは、今作に置いても当然のようにキープされてるのは超感心!
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