2010年7月2日金曜日

アイドル評論(26)田辺あゆみコンプレックス



2010年現在のニッポンに置ける、アイドル「評論」ムーヴメントの最重要中心人物の1人と言って差し支えないであろう、Rhymestar宇多丸先生が提唱する「モデルハウス」。

要は、最高にフォトジェニックで魅力的なネエちゃんが、ハイクオリティーなダンスミュージックをやってのけると言うメソッド。

「ガーリー」ムーブメントともクロスオーバーしそうな中、あえて「クール」という切り口で語るならやはりその筋のフラッグシップである片瀬那奈
そして意識的か無意識的かはさておき、断片的にであってもそんなKATASE ISMを取り込むフォロワーたち=鈴木亜美、MiChi、そして後藤真希らという現行のモデルハウス最前衛をひた走る「現役」を抑えつつ、この路線のルーツを辿ると、ある作品、ある方にブチあたるコトに気がつきました!

それこそが、遡るコト12年前、1998年のハプニング、テイ•トウワ×田辺あゆみ奇跡のフュージョンっ、「Butterfly」なのでした!


あえてここで語るのも野暮ですが、田辺あゆみちゃんと言えば、10代の頃よりその魅力的なルックスとスタイル、カリスマ性を持ってして
CMや雑誌媒体はもとより、パリコレクションでも大活躍するなどした、超一流モデル。
今なおカリスマと崇められてもいたり。
ちなみに旦那様は、アイドル写真集仕事でも、頼んでもいないのに持ち前のアーティスト性を発揮する藤代冥砂氏。
余談ですが、夫婦コラボによって発表した、独り身へのあてつけのような多幸感満載の写真集「もう、家に帰ろう」もバカ売れしましたねえ。

そんな彼女が1998年、TOWA TEIからのお誘いにより、彼名義のシングルである
「Butterfly」にボーカリスト兼ヴィジュアル担当的ポジション、言わば、TOWA TEIのミューズとして音楽界に殴り込みをかけました。ちなみに作詞も手がけていたりするみたいっ。

モデルが歌手デビュー、というのはこの2010年に置いては常套手段どころか
モデル→タレントへのステップアップとしての方法論となりつつあるようで、
その舐めた態度に苛つく輩も多い昨今、当時としては実に斬新で画期的だったという以上に
現代の所謂赤文字モデルとは一線を画すこのカリスマがやってのけた、というのも魅力的。

タレントとしての寿命の面だけを考えての、覇気のない歌手活動とは一味も二味も異なる、
スターだから許されるお遊び!そこをこそ評価しつつ、そこにこそ「アイドル」的なキラメキを感じるばかりっ!(その意味では、Rinkaはココ寄りですかねっ!)
そもそも、彼女にモノホンのスキルなど求めてない訳ですが、「歌もの」と括るのも躊躇われるドラムンベースがメインなサウンドプロダクションの中、申し訳程度のボーカルが逆にとっても気持ちよい。

あえて生身な感触を排除した空気感は今もって2010年の耳でも、フレッシュさは損なわれていないでしょう。
これこそあえて語るのも野暮な、TOWA TEIのパーフェクトな職人技の見事さっ!

折しも、1998年と言えば歌姫ブームの兆候とモーニング娘。らの珍妙な奮闘。
2000年代のカオスを目前に控えた、中々の最盛期。
一方それとは無関係な聖域的な場所で、アグレッシブかつ華麗なる音楽的ミラクルを巻き起こしたテイ&田辺!その辺も素晴らしい。

ミスフォトジェニックとでも言うべき田辺、
当然のように完璧なアートワークにも最大級の賛辞を贈ります!
こちらは、×TYCOON GRAPHICSによる化学反応。大好きです☆

ちなみに上記の映像はオフィシャルなPVではないみたいですが。。
(確か一度どこかで拝見した、「クイーンアミダラ」的なファッションのあれがそうなのかも知れません、情報不足でスミマセン。。。)

それはさておき、
是非、エレクトロ〜テクノポップが市民権を得た今こそ注目すべき一作ではないでしょうか?

さてTOWA TEIと言えば、ある種「本家」のKylie Minogue先輩と一戦交えてるのも特筆すべきですが。。


さらに付け加えるならば、ある意味、featuring 田辺あゆみの件以上に
それよりももっとスマートかつナチュラルな形で「新時代のアイドル」をディレクションしたという意味でやはり、AYUSE KOZUEの成功は注目すべきでしょう。


(2006年4月リリースのTOWA TEIプロデュースによるシングル「Boyfriend」)

勿論モデルハウスという呼称自体知る由もないでしょうが、それでも彼の
散発的なモデルハウスの系譜の最先端が彼女なのは明白っ。

「アイドルポップ職人」としても期待してまっす!テイ•トウワ!

2010年6月18日金曜日

アイドル評論(25)w-inds.コンプレックス


超独自研究で突っ走る、K-POP勢の魅力論。
と、同時に自分の中では、他の誰かでは得難いw-inds.ならでわの魅力を
いよいよ改めて再認識出来た意義深い会にもなりましたっ!


4minute、BIG BANGを筆頭に、いよいよ日本人のミュージックライフへと入り込んで来た
K-POP勢の猛威っ!ハイレベルなパフォーマンススキルと音楽的強度を武器に、
現在のこの「たるんだ」J-POPシーンの台風の目となりつつある彼らの脅威に対して、
もっとビビるべき!そして、コレぐらいのコト日本人にはどうして出来ないの?
という怒りを露にした4 minuteコンプレックスも記憶に新しいですが、

でもじゃあ、韓国出身グループたちが持つソレと近いレベル、近いアプローチをしているのは?とニッポンのシーンを見渡せば、ちゃんといました!
自国も捨てたもんじゃないと思わせてくれるだけのポップスターが!
それがやはりw-inds.だったのでした!

勿論デビュー以来一貫してクオリティーの高さには定評のある彼らですが、この所よりブラッシュアップされた方向へ、素晴らしすぎるシフトチェンジをかましています!



そもそも韓国の男性グループの、「絵的」な部分から感じるこの魅力ってなんだろうか?と考えてみたトコロから始まったのですが、
結論の一つとして浮上したのは、やはり「ストリート的」かどうかという所かと。

たとえば、ファッションにしても、モードな装いや尖ったテイストのカジュアルなどとにかく洗練されたスタイリッシュぶり。
もしかしたら韓国におけるダンス文化って、日本で言うB-BOY文化的なモノとけしてクロスオーヴァーしちゃってないのかもな〜。
ダンスの振り付けにしてもダイナミズムよりもむしろ、ディテールの細かいマシーンめいた正確さを要する印象で、そこにもストリート臭は皆無。


★K-POPからまたもや新たな刺客、“SHINee(シャイニー)”!


そして変な言い方だケド、泥臭さを微塵も感じさせないその出で立ちは
古来からジャニーズが守っていた、そしていつのまにか手放した「王子様」的ファンタジーを補完してくれてるようにも見て取れます。少女漫画的世界を生きる乙女から熱い支持を集めてるのもうなづける所でしょう。
そう思うと、ファッション、表情、ヘアメイク、身のこなし、全てにおいてジェントルマン風味。それでいて肉食感を感じさせつつも、どこかスマートな印象なのは
日本の草食系とは似て非なる、COOLさ!

w-inds.との大きな共通点として感じたのは、まさにそこで、
「遠い世界の王子様」という古き良きジャニーズイズムも、一般男子と限りなく地続きな、たとえば吉川晃司やチェッカーズ〜近年で言えばDA PUMPといった面々により
そんなイズムも「突っ込みドコロ満載の代物」になってしまう場面があったように記憶しています。

でもそこをあえて、今度はジャニーズがそれを強かに取り込み、
「ストリート的」な打ち出しのKAT-TUNへと繋がったり、と。


かたや、ジャニーズの強かさに寄って芸能界的圧力に押しつぶされかけたDA PUMP。
しかし皮肉なコトに、ライバルを潰すためにライバルを模倣し取り込んだ結果
自分たちが守って来たイズムは薄まる、と。
その結果、残されたw-inds.の面々の(というかほぼ、ボーカルKEITAの)「王子様」的ルックスと、打ち出し、そして
見事なパフォーマンススキルと唯一無二のボーカル、と
結局他では得難い孤高の魅力を獲得したのはw-inds.の方だったように感じます。
(だからこそ、この手の世界観に巧くハマるKEITAを例外として、バックの2名の垢抜けなさは若干痛い。。)

方や、お笑いもやっちゃう現在のジャニーズのいかに等身大的なコトか。
それに対し、どこか「手の届き難そうな」スター性を垣間見せる彼ら。
メディア露出が少ないコトも勝因に繋がっているのでないでしょうか?


ただし彼らもある時まで、兄貴分•DAPUMP譲りのストリート感覚を強く意識していた時期も有りましたが、おそらく「CAN′T GET BACK」あたりを契機とし、
BIG BANG•G-DRAGONをゲストに迎えたソリッドな「Rain is fallin...」で、
ほぼほぼこっから突き進むべきベクトルというのはハッキリしたのではないでしょうか。


当然、男性アイドルシーンに置けるメインカルチャーが今後もしばらく「ジャニーズ」であり続けるのは疑う余地もありませんが、
いつだって音楽的面白さこそがカウンターカルチャーとなる、という真理と希望を胸に
彼らを見守って行きたいと思います!

そしてNew Single!一つの到達感を感じさせる、よりフィックスされた世界観。


まあ、毒も絡めああだこうだと批評して参りましたが、メインカルチャーとしてのジャニーズあってこその彼らの輝きであって、男性アイドルシーンの活性化にはどちらも必要な存在感!
ひとまず、J-POPにおける男性アイドルシーンのサイドカルチャーは、
w-inds.にまかせたっ!

アイドル評論(24)BoAコンプレックス


ここ最近の尋常じゃないエヴォリューションと共に、
J-POPの枠に収まるためあえて抑圧されていた本来の彼女の資質が、
全米デビューを契機として一気に開花した印象のBoA!
小競り合いを繰り返す現行ヒットチャートのFAKE STARたち、
POP STAR OF ASIAの「格の違い」を思い知れっ!
っという今回はここ最近の彼女の傑作群をまとめてSAMPLING!


個人的に近年の代表曲として取り扱っている、こちら名曲「永遠」。
そもそも、avexの職務怠慢とでも言うべき、いつの頃からか始まった迷走期。
佳曲もゼンゼン少なくない訳なんですが 、たとえばここ数年のバラッドに特に顕著なんですが、楽曲の凡庸さは勿論、最も最重要課題とすべき「BoAこそが歌う必然性」という部分が残念なぐらい蔑ろにされているようなアプローチも多々あったように感じます。
とくにいわゆるセールスが下降線にあると言われるここ最近はモロに。
(それすらも、数年に渡りそういうコトを続けてきたツケが回ってきただけな気もしますがねぇ!)
そんな中でのアメリカデビューの話も、窮屈かつ下世話な日本のポップスシーンで
飼い殺しになるコトを考えれば「まさに」な選択であり非常に喜ばしかった。
ヒットチャートのトップに立つための資格として、必ずしもスキルを絶対的要素としない
「たるんだ」J-POPシーンに置いて、BoAはただただエリートすぎるのかも知れません。
結果、全米デビューアルバム収録楽曲の数々は非常に力の入ったハイクオリティーダンスアンセム乱れ打ち!韓国の彼女とも、J-POPの彼女とも違う、それでいてでもやはりBoAという素材だからこその世界が確実にそこにはありました。


「I Did It For Love」


「Did Ya」


そんなこんなで、それでもなおあくまで日本で、J-POPシンガーとしても
セールスなんて二の次でいいから、BoAこそが歌うべきハイレベルな、
それでいて ポップアイコンとしての彼女自身の資質をも同じだけ大切にした
納得のいく作品は出ないもんかな~ぁと、切望してました!

そしてそれは、アメリカでの修行を見事な追い風にし、まんをじしてこれ球の傑作へと実を結んだのでした。


掛け値なしで、BoA最高傑作では?
失恋をテーマにしたリリックのしみったれた塩梅とサウンドのクールさとのコントラストがイカしてる。
ジャケ写同様、憂いを感じさせる澄んだ質感で、シックな装い。
メロディアスなのに、安っぽくない塩梅の着地で、さすが今井大介!

グッとオトナの表情になった彼女のボーカルも聴き所です。


そんな「永遠」からおよそ9ヶ月というインターバルを経てリリースされたのが、
こんな痛快パーティーチューン!


非常に攻めたパワフルな作品となった全米デビュー盤しかり、
彼女の最新クラシックとなった名曲「永遠」しかり、イチイチ素晴らしい最近のBoA!
その上本作もまた、彼女の成長物語のなかに置いて、また新たなひとつの到達点となり得る
強力ナンバーに仕上がっていたのでした。 こう出す曲出す曲パーフェクトだと
否が応でも感じるでしょう、彼女の格の違いを。

要は、BoAがどれだけ歌えて、どれだけ踊れて、どんっだけカッコいいのか
その逸材ップリをこそ全面に押し出した、そして見る側が一目でそこに気づける仕掛けが施された画期的な一曲。

ダンスに関しては、かつてSPEEDのHITOEちゃんが出て来た時に感じた、
この子ひとより間接の数が多いのでは?といった衝撃にプラスして
BoAの場合、そのしなやかさ、表情から滲み出る彼女の余裕までもがくみ合わさって、
かつて誰にも感じたコトなんてないセンセーションをヒシヒシと感じるばかり。
もはや盟友と表現すべきVERBALが全面的に参加しており
いい意味で軽薄で、なんともドライな、かなりキテるリリックと、
ファンキーさが際立つエッジーなトラックメイキングが、最高の塩梅で融合した、
正真正銘の極上パーティーチューン!
それを、なんだか「冷めた」歌唱法でいたずらっぽく歌うBoAがまた光る。

もはや、今となっては安室ちゃんにも出来ないでしょう、こんだけ「軽い」のは!
そう言った、他では得難いモノを発信していくコト自体が難しい今のポップシーンに置いて、
間違いなく彼女、貴重な存在と言える人。

そして何がいちばんカッコいいって、
続々と量産され続ける新参「泣き歌ディーバ」勢たちの影に(あくまでセールス的なニュアンスで)
隠れてしまうようなコトがあったとして、
そして何より。彼女がわかり易く所謂アイドル的な打ち出しで売り出されていた時期があったコトなんかに
甘んじるコトなく、キチンと高みを目指し続けるコトを疎かにしないその態度でしょう。

そんな意味では、アメリカデビューってのもある種「ご褒美」みたいなものだったのでは??

ショービズ界でカッコウよく生き残るってのはこういうコトだ!
というアティチュードを見してもらったような感動を味わいました。

この曲を収録したアルバム「IDENTITY」もいよいよ本領発揮と言わんばかりのパワーアルバム。
一押しは、天才同士の共演!「Possibility duet with 三浦大知」!!


ますます進化するBoAの、ネクストアクションも絶対注目っ!


超〜80′s☆!!!キュートすぎっ!

アイドル評論(23)IMALUコンプレックス


「親の七光り」を最大限に利用したその場限りの大活躍を見せる訳でもなく、
ご両親のイメージとあえて距離を置くでもなく、
微妙な立ち位置でその存在をアウトプットし、言わばひっそりと躍進するIMALUちゃん。
個人的にはタレントとしては妙に好感の持てる彼女なんですが、
勝負シングル「Uh Uh」によって、シンガーとしても
今まさに花開こうとしているこの瞬間に立ち会える喜びを、
軽いタッチで語ってみようかと思います!


デビュー曲「Mashed potato」が、言ってみりゃ木村カエラあたりをビジネスモデルとしたような、キャッチーでガーリーなポップロック路線。
2ndが、命名した両親への反発か?と戸惑わせるような、あざといタイトルが冴えたミディアム「そんな名前 欲しくないよ」、と。音楽的ジャンルはもちろん歌唱法に至るまで
一貫したスタンスを貫かないアクションの数々に寄って、今持っても彼女自身の個性というのはなかなかに見えずらい印象。
もっと言えば、技術的に「歌えてる」のかもどうかもわからないぐらい。

でも、2ndで感じた、まるで泣きじゃくるようなボーカルはなんだか気に入っちゃったり、
とるに足らない恋愛模様を描いた彼女自身に寄る歌詞も
こねくり回し過ぎて一周した結果、単純明快の等身大な目線にも思える、妙なセンスの良さ。
そのあたりはすでに、注目すべきポイントとしてチェックかけてました。


特に声質に関しては、所謂ロリータボイスなんだケド、なんかクールな手触りもあって
彼女の半生に裏打ちされたモノなのかもと、勝手に妄想してたりしたんですが!

そんな塩梅で、自分の中ではあえて気になりはしないケド、ちょっと注目しちゃう
ようなそんな存在へと早くもステップアップしていました。

そう、そんなタイミングでした。


リュックベッソン監督作「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」の主題歌にもなっている、
3rd Single「Uh Uh」が思いのほか気に入ってしまいましたっ!
これまた前作までのスタイルとは見事に断絶した、エレクトロポップ路線。
流行ものに鞍替え?!という冷ややかな目線もなくはないですが、
昨今主流のバキバキと重苦しいテイストとは異なる、ソフトな手触り!
要所に挿入されるギターサウンドもスパイスになってて、良いし。

彼女のキュートな声との相性も、もしかしたらコレまででいちばんかも!

そしてなんと言っても注目すべきは、この可愛すぎるミュージックビデオ!
森の中を舞台に、IMALUと愉快な仲間たちが、ヴィヴィッドな世界観で
キッチュなダンスをかまします。
時折挿入される映画のシーンもマッチしているし、久しぶりにホントに見ているだけで思わず顔がほころぶ作品に出逢うコトが出来ました。


さて、本作含めこれまで3枚のシングルを発表して来たこの期間、
言わば「猶予」的にトライアルが許されて来た彼女もそろそろ真価を問われる時期に差し掛かって来ているでしょう。
僕としては、この4th以降もこの路線で突き進んで欲しいですねっ!

歌以外に活路を見出すとするならば、もうちょっと年齢言ったらドラマの脇役でいい味出しそうな雰囲気も感じるんですが。。
とりあえず今は、歌手IMALUに注目して行きたいと思います!

アイドル評論(22)MiChiコンプレックス


言わずと知れたアイドル評論家•ライムスター宇多丸氏が提唱する
通称「モデルハウス」。
要は、フォトジェニックな魅力溢れるモデル級の美女=アイコンが、
最高にカッチョいいダンスミュージックを鳴らしちゃうという奇跡!
アイドルファンからコアな音楽マニアまでもを巻き込んで次世代のポップスターとしての輝きでシーンを絶賛席巻中のMiChi。
その意味では、まさしく2010年現在のモデルハウス最前衛を走る
この注目すべき逸材を今回はfeaturing!


サウンドメーカー松澤友和との出逢いを経て、2008年10月にシングル「PROMiSE」で華々しくメジャーデビューを飾った彼女。
それに続く「ChaNge the WoRLd」「KiSS KiSS XX」もタイアップも強かに絡め、
タイトル曲、B面曲は勿論、カップリング収録のリミックスやカヴァー曲に至るまで、一貫してすべてに置いて力の入った良い仕事を見せていきます。
サウンド的にも「Perfume以降」と括ってしまって大袈裟じゃないこのご時世に
まさに「今の耳」だからこそ耳馴染みの良いピコピコサウンドに、
ロック要素をミックスした「新鮮さ」の備えもぬかりなし、と。

楽曲のクオリティー以上に、この尋常じゃない完璧なバックアップのされ方にこそますは感心しました!


「ChaNge the WoRLd」PV、素晴らしすぎるっ!


勿論それは、そのバックアップに見合った楽曲の水準とパフォーマンスの魅力も勿論あってのコトですケドね。

そしてルックスはと言えば、ご覧の通り。
まぁ「美人」かどうかは個人個人のジャッジ次第といった趣ですが、
被写体として魅力的なのは間違いない所でしょう。強気な印象もいい塩梅。
声質にもそれは反映されていて、非常に野太い、それでいて滑らかないいお声を持ってらっしゃいます。個人的には割りとタイプ!

続く変化球「YOU」はここまでの流れから一転して音数少なめのバラッド。

そして彼女のファーストステージの集大成と言える、
2009年9月リリースのアルバム「UP TO YOU」は
当然これまでの同様、純度の高いポップエッセンスを散りばめつつも、
どこか散漫な印象も強く、荒削りな印象を垣間見せます。
それでもシングルで見せて来たイメージを、曲毎にその都度足し引きしたような、ベクトル的にはあくまで従来のキャッチーな魅力に溢れた仕様で、個人的にもお気に入りの一枚となりましたっ。

しかし見方を変えれば、小さく固ったようにも見えなくもなく、彼女にとって
この次のステップはどんなもんなのか?気にかかる点で有りました。

それは、アルバムリリースからおよそ半年後にリリースとなった
5thシングルが早くも一つの答えとしてはじき出されました。

それこそが賛否両論を巻き起こした「All about the Girls〜いいじゃんか party people〜」だったのです。


髪も切って心機一転して挑んだ本作は、ここ日本でも人気者となったスキャットマン•ジョンの代表曲をサンプリングしつつ、そこに日本語リリックが乗っかりそのリリックはと言うと
なんとあのDJ OZMAの手によって、発情する女子の心情を、キュートでありながら思っくそ下品にデフォルメされた描写で表現した、なんとも下世話な世界観!
そしてMiChi仕様のキラキラ〜ピコピコサウンドが全編にまぶされまくってるという、
もうほとんどカオスとしか言いようのないものすげえグルーヴ!

色んな限られたアイデアを思い切ってとりあえずぶち込んで見た末路というか。
でもそれでいて「確信犯的」とも思わせるのだから、やりたくてやったのはまず間違いないでしょう。
編曲者の名義も通常の“T.O.M MadNesS”から、“ScaT.O.Man”になってますし、完全悪ノリです。

風潮的には賛否の「否」のが過半数を占めるムードですが、個人的にはどうにも嫌いになれないんですよね〜!クセになるというか。
OZMA自身の諸作もそうですが、この手の楽曲に関しては「クセになる」っていうのが最上級の褒め言葉なのではないでしょうか。

それにしてもいきなり振り切ったな〜ぁ、MiChi。。吃驚。

でも、そうだよ!初期のようなポジティヴ一辺倒じゃ飽きられちゃうし!
「安心して聴けるポップス」も悪くないケド、安パイにいれられるぐらいなら、寧ろコアファンを、見る者を不安にさせるぐらいで丁度いいじゃない?!

雑誌「WHAT′s IN?」の評『下世話とスタイリッシュの境界線で高らかに鳴り響く会心作』その言葉がすべてでしょう!

勿論タレントとしての寿命云々も大事な問題だけども。。
そんな理由からなのか否かはわかりませんが、カップリングには定型通りの
キレイめポップチューン「dance DANCE!」が慎ましやかに収録されても居ます。
こちらは通常モードの佳作!

ただ個人的にはこんな「乱れた」「ヒドい」彼女をもっともっと期待したい所。
そんな声に応えてなのか、続くシングルはなんとthe telephonesとのコラボレイトが実現!って!


またもやカオス!MiChiのファンキーな側面と、バンドのニューウェーブ的アナーキズムが見事にシンクロ、高いレベルで化学反応が実現した超アグレッシヴなダンスロック。

そして、telephonesのもうひとつの魅力であるエモーショナルな部分もきちんとミックス!
なかなかにヤバいコラボレイトと相成りました。

さて彼女はどこまで行くのか。。なんかもうモデルハウスとすら呼び難い場所に行ってる感もありますが、注目すべきアイコンであるのは確たる事実!
突き進み続けるMiChiに今後も大注目っっっ!





アイドル評論(21)ERIKAコンプレックス


「寧ろ忌み嫌ってた」のに無視出来ないアイドル—AKB48をfeaturingした
アイドル評論(20)でしたが、「無視出来ない」レベルでは
今現在のエンターテイメントシーンに置いて、
当代一の無視出来なさを誇るこのお方、沢尻エリカ!
「たかの友梨」の新CMでのセンセーショナルな復活劇に続いて、
歌手ERIKAとしての音楽活動も奇跡の再開を計りました。
案の定と言うべきか物議を醸しまくりではありますが、彼女の音楽活動もまた個人的にはけして無視出来ないクオリティーを揃えられちゃってる訳です。
といったトコロで、 featuring ERIKAっ!


片瀬那奈を筆頭に、このブログを順序通りに読んでくださってる、賢明かつ奇特な同志の方ならすでに承知のコトかもと思いますが、個人的にはハウス、エレクトロ、テクノポップといったいわゆるクラブミュージックにキラキラしたサウンドが絡んでくる類いの
洗練された遊び心を感じさせてくれる音、それでいてアイドルミュージックならでわの歌謡曲感を「気持ち」で良いから配してくれてるようなサウンドに滅法弱い、それでいて歌ってる被写体がフォトジェニックなお姉ちゃんなら、もうホントそれ以上何も望まない!という趣向を持つ僕な訳です。

片瀬以外で挙げれば、鈴木亜美RINKA、最近の後藤真希(要は、SWEET BLACK)その他ブログ未登場ですが、リア•ディゾン杏さゆりのデビュー曲などなど!!
そのラインから言って、ERIKAは見過ごせないアイドルでした。

シングルA面曲で見せる微妙なポップロックにはちっとも面白みを感じないんですが、
2007年7月リリースのデビュー曲「FREE」収録のカップリングナンバー「FANTASY」、
この一曲のみで彼女への注目度は爆発的なモノとなりました、自分の中で。


そもそも彼女のパブリックイメージをこそ活かしたアプローチを模索した結果、
あえて別人格というふざけた設定を活かしたギミック満載のアプローチも
音楽的に消化出来ない不甲斐なさのせいで、妙ないびつさを感じさせるタイトルトラックに反して、スマートに「沢尻」を「音楽化」させたこの楽曲の見事さ!

彼女の「根性汚そう」で「冷たそう」で「ドライでクール」、
でも「YES、NOは人一倍言う」ケド「お膳立てがないと自分では殆ど何も出来ない女王様」
それでいてもちろん「文句なしの美人」。
そういった彼女のアイデンティティーの部分がキチンと一曲の中でカバーされているように見えるのです。
少なくとも「ちょっと、聞いてんの?!」の一言がまるで自発的な発言に聴こえるのは確たる証拠。

ドールのように無表情で、60′sでおしゃれに決めた彼女が飛び交うミュージックビデオの世界観ともリンク!
プライベートでも、この手の音がかかる夜の街で遊んじゃってたんだろうし、
やらされてる臭さが一切ないのは、もうそれだけでホンモノでしょう!

今更ながらコレをA面に持ってこなかったディレクションサイドのセンスのなさには、
腹立たしい限り!もちろんこの一曲を制作してくれただけでも感謝の域だけども。

つづく同年11月の2nd「Destination Nowhere」も冴えないんですが、
これまたカップリング収録の「ESCAPE」がクールかつアップリフティングなハウスチューンに仕上がっています。
アレンジを手がけた黒坂修平氏は、DAISHI DANCEなどとも同じレーベルに所属するPAX JAPONICA GROOVEのメンバーだったんですね。


彼女のボーカルも何故だか表情豊かに感じますし、
とことん合ってますね、ERIKA×CLUB MUSICってば!!

同じく本作収録の「FREE」のOverrocketによるリミックスヴァージョンもオリジナルより全然いいじゃんっ!


例の事件によってそのまま立ち消えになってしまった、彼女の第一期歌手活動でしたが、
こうして紐解いて行くと、実に彼女のコアな固定ファンよりは寧ろ、
そうでもない音楽ファンの反応こそ得られそうなクオリティーがよりにもよって大方固定ファンの耳にしか届かないカップリング扱いだったと言うのは、不甲斐ないばかりという感じで
セールス的に悪くない成果ながらも、結果的に届いて欲しい人に届かず
真っ当な評価を得られないという敗北を背負った訳だったのですが。。。


しかしそんなトコロに甘んじて、黙ってるタマではなかった訳です、彼女。
再び「ERIKA」として、この2010年5月歌手活動を突如再開させたのでした。
しかもSTUDIO APARTMENTを客演にむかえた、
カップリングの諸作に置ける路線をより完成形へと引き上げるアプローチ!
「な〜んだ、本人自身もホントはこの路線が良かったんじゃん」という安堵。

サウンド的にもSAらしい、あえての生音感が最高に気持ちいい「らしい」アプローチ。
彼女の線が細いながらも妙に前に迫る、それでいて丸みのあるキュートなボーカルとも相性ばっちり!
ついでにコレを無料配信してくれちゃう懐の深さにも拍手!

「Girls Award」でのステージは、口パクやら尻出しやら下世話な話題で盛り上がりましたが
個人的にはそれ以前に、衣装のどうにも焦点がしぼれてない感じが気にかかる。。
早い話がどうしてもLADY GAGAと比較されて当たり前のこの時期に、この中途半端さは痛い。
この楽曲のすばらしさが過不足無く伝わるような、パフォーマンスの練りももうちょっと必要だったかも。

まあ、そんなのはどうでもいいケド、歌手ERIKAが、最も待ち望んだベストな形で戻って来てくれたコトに感謝しつつ、
その内でいいからアルバムとか是非聴きたい!

スキャンダラスなお姿をメディアに晒して、我々を楽しませてくれる彼女も好きだケド
そろそろ本気で、音楽活動に置ける彼女の活躍を期待してみてもいいでしょっ?





アイドル評論(20)AKB48コンプレックス


「アレ…?オレ今なんでこんなアイドル、
こんな楽曲に心動かされちゃってるんだろう…?」
ってな類いのセンセーションを感じたコトはありませんか?

そもそも歌の巧い下手だとかそう言った技術的な観点だけでは語れないジャンル—それがアイドルソングの魅力だろ!っとは思いつつ、ちょっと自分でもビックリする出会い。

僕もそんな風に出逢い、ファンにさせてくれた楽曲はいくつかあります。

でも、今まで頑に忌み嫌っていたアイドルのナンバーだったら?
なかなか穏やかじゃないでしょう!
そもそもブログまでわざわざ設けて、評論家気取りにレビューやっちゃってるアイドルコンプレックス、
「コレはこう。」っていう凝り固まって発酵しそうな個人的価値基準を強く持っているようなヲタ体質。
だからこそ、そう言う理屈をも超越した所で「好きだ!」と思っちゃった自分が
嬉しいやら恥ずかしいやら!

今回そんな出逢いをさせてくれたのが、元「AKB48」大島麻衣のソロデビューシングル
「メンドクサイ愛情」。


AKBが嫌いだった理由、そしてちょっとだけ好きになってしまうまでの過程を
聞きたくもないのは百も承知で綴りつつ、
それほどまでの原動力になった彼女の本作の魅力にも
言及して行こうと思います。

記念すべき!か、どうかはともかく、画期的な会になるコトは間違いない、
当ブログ初の、AKB48関連記事。


そもそもその懐古趣味的な武装と、宗教的と言ってしまって大方間違ってないであろう
ビジネススタイル。国民的という呼称とは裏腹なその、閉じた姿勢
—つまり「箱庭」としか形容仕様のない、リスナー(イコール、ヲタ)との付き合い方含めた、その在り方。
ソコに対する嫌悪感が確実なモノとして、僕の中には根強く存在していました。

それというのも、やはりいよいよ世間の関心度も下がる所まで下がったモーニングへの愛、
それに対してAKBの、カウンターというよりは寧ろフォロワーにしか見えない絵面への反感、
そう言うモノがそりゃもう強〜くありました。
そうそれらはあくまでもモーニング寄りの意見でした。
アイドルとしての構造からして違うAKBと比較すらしないでよっ!って。

AKBを今まで忌み嫌っていた個人的な理由というのは、その辺が大部分な訳です。

じゃあ音楽的にはどうかと言うと、これまたユニゾンが基本の、
早い話が「おニャン子」以降の束ものグループ的なアプローチを、
一切のシニカルもブラックジョークも抜きのトレース、言わば本気の懐古。
そもそも僕があんまり好まないスタイル、一言つまらない訳です。

一方、モーニングはと言えば、繰り返しああだこうだと語っているように
音楽的な面白さ、音楽的にコレがしたい!という気迫、そこにこそ惹き付けられた
自分のような人間によって支えられていたのが、少なくとも1999年〜2001年ぐらいまでの
モーニング一味。
DANCE☆MANを筆頭にした選りすぐりの腕利きミュージシャンによって
絵面こそおニャン子でありながら、アイドルダンスポップをネクストレベルへと引き上げた傑作揃い!!
引き換え、当時DoCoMoCMソングとして執拗に垂れ流された「桜の花びらたち」あたりを聴いただけで、もうわかった!早い話が「オレには関係ねえんだ」と。
そもそも耳から入ってくる情報、それだけのみで戦っていないような
すなわちルックスでしょ?っていう。
あと当時の地下アイドル的な佇まいにも引いちゃったり。

「無視」を決め込み、徹底的に冷戦の構えだった僕でしたが、
年々その存在感を増す彼女達。あえてハマるには魅力低めだけども
シカトを続けるにはその存在感はデカ過ぎる。

方や、右肩急降下でつまんなくなるハロプロ。(夏まゆみ先生も味方に取られちゃったし。。)
そしてそんなチンケな争いの傍らで、あざ笑うように
最先端の音楽的強度を誇るテクノ〜エレポップを武器に、
旧時代の芸能界的なやり口とは、違うプロセスでブレイクしたPerfumeもいたり。。

だたその間も「ロマンス、イラネ」「涙サプライズ!」「言い訳Maybe」と言った個人的にもグッと来た佳作もまま有り。
「懐古アイドル」というアプローチでも、そのベクトルをきちんと突き進め
煮詰めたような、それはそれで悪くない「強度」を散発的に見せ始めたのも事実な訳です。

今考えてみればやはりそこには「音楽的にコレがしたい」というアティチュードはあったのかも知れません。そこはアイドル「ミュージック」ファンとして
評価しておきたいです。

中でも「言い訳Maybe」はpv含め、素晴らしい力の入れよう。


ふせえりの小味の効いた芝居もさるコトながら、「総選挙」とリンクさせ、「競争」をメタファーにした自転車でのバトル。最前線を突っ走る前田の表情の凛々しさ。
AKBを取り巻くあらゆる要素が、ひとつのドラマとして非常に巧いコトまとまった一本ではないでしょうか?

なんだかんだ言いつつも、いつだってカウンターになるのは音楽としての面白さ。
それはココ10年だけでも、モーニング及びPerfumeが体現したコトがすべてでしょう。
ただし実力を魅力が上回る瞬間もあるのがこのジャンルの醍醐味、言い換えれば屁理屈が理屈に優る瞬間?日々めまぐるしく変わる自分自身の趣味趣向とも上手に付き合っていきたいなぁ、と。そしてじゃないと、折角良いものも聴き逃しちゃもんなぁ、とも!

AKBに関して言えば、それはまさに第一回の「総選挙」に置ける前田敦子の涙とコメント。
これは結構来ましたねえ。。


かつて福田明日香卒業ライブの時に味わって以来の胸を締め付けるあの感じ。この「青春」的なスピリッツの青臭さ、歯痒さ、可愛さ、格好良さに萌えたっ!

そして、コレに前後してリリースされたAKB•OG大島麻衣のデビュー曲の
なんとも言えない魅力にやられたのもデカイ収穫。

巧いのか下手なのか、可愛いのかそうでもないのか、性格良さそうなのか根性汚そうなのか
よくわからないあのルックスと、女の子のちょっとコワい部分な部分
を曝け出すライミングも面白い強気なリリック。
mihimaru GTあたりを彷彿とさせる、過剰に前向きでキャッチーなメロディー。
それらが交錯した世界観に何だか無視出来ない魅力を感じ、現在ヘビロテ中。

コレから先もっとファンになっていくかはわかりませんが、
音楽的に面白いコトをやってってくれるのであれば当分見守って行こうかなという気配。


そして最後に一言、モーニング娘。もっとがんばれよ。。。!!


なんだよ、コレ。。