2010年4月21日水曜日

アイドル評論(1)片瀬那奈コンプレックス

という訳で、記念すべき第一回目に取り上げさせて頂くにあたって
モーニング〜Perfumeも捨て難い中、
それでもやはりココは、自分の中でのアイドル/ポップアイコン像の
ひとつの完成形を示したと言って差し支えない、
J-ダンスポップ界の永久欠番であり、無冠のダンシングクイーンこと
「歌手•片瀬那奈」を大フィーチャー!!


1stにして現在唯一のオリジナルアルバムである「TELEPATHY」、個人的には10年に1枚現れるかどうかの大名盤!
「歌って踊れるきれいなおねえさん」がやる「適度に歌謡曲的色気がありつつの、本格派ダンストラック」
という、結局突き詰めるとボクが望む最大限のあり方を、この方は提示してくれたのです。
思うようなセールス的成功は収められない厳しい状況下でも「売れるだけ」のものじゃなく、キチンと「いいもの」を届けようと
し続けてくれた、片瀬及び片瀬チームの努力と忍耐には涙すら禁じ得ませんが
ビジネスとはむなしいもので、総決算ベストを持って彼女は歌手活動から手を引いてしまうのです。
(後年、SBKのアルバムにゲスト参加し一曲限りの復活を遂げました。そのナンバーの素晴らしさについてもいずれどこかで!)
今現在Perfumeを筆頭とし、そのフォロワーも含む“歌ものエレクトロ/テクノ”路線の皆様が
異常な盛り上がりを見せるなか、彼女の早すぎた先見性は誇らしい反面、切なくもなる訳です。
ただやはり、「クラブでかけれるダンスポップ」というモノが受け入れられる市場開拓の
一端を担ったのは否定し得ないハズ。
もう、レジェンド!

また↑上の「GALAXY」「TELEPATHY」を聴いて頂けたならばもうおわかりでしょうが
いわゆる「女優が余技でCD出してみました〜」的なノリとは一線も二線も画す、
その段違いの本気度もリスペクトしておきたいトコロ!

あくまで女優としてのパブリックイメージ確保に走るあまり、つまんないバラッドとか
やっちゃう人も数多いるなか、このある種のリスクをも意に介さないような
スタンスこそ、片瀬の根性の賜物であり、また彼女自身の音楽的センスの良さをも評価したい。

そして一級品のヴィジュアルクイーン、それこそ「きれいなおねんさん」な訳で
絵で見たときのクオリティーも尋常じゃなくって
どこかクールでドライな印象のルックスと体温低めのダンスサウンドが見事なまでに
高次元で融合しちゃってる訳です。
=音楽としての説得力!

これこそが正統派の(所謂まちがってもアイドルとは呼ばれない)クラブサウンド職人が作る
ダンスミュージックではなく
アイドルとして挑んだからこその結果でしょう。
こういう奇跡があるから、アイドルファンは辞められない訳です。

アルバムとしてはポップなシングルナンバーも収められてはいるんですが、
アルバム一枚通して見ると意外なまでに、クール!
フィルターハウス系あり、80′sキラキラアプローチあり、バリエも豊富でありながら
均一な「低温」な表情が徹底されており、コンセプチュアルな仕上がり。

そこにある種のスパイスとしてたとえば「Babe」や「FANTASY」などの陽性ダンス
「Shine」などのバラッドも入り込んでくるのが、平坦なまま終わらないアルバムに仕上げていてナイス。
つまり、アイドルソングファンのみならず、一般層にも確実にアピール出来る強度がここには
確実に宿ってる!

個人的な一押しは、先にも挙げましたがキュートかつエッジーな強力ポップチューン「Babe」♪
今振り返れば確実に彼女の代表アンセムでわ?



他曲に比べ、きちんとポップ感を下敷きに、そのぶんサウンドで遊びもあり
メロディも歌詞も可愛いらしアプローチが徹底して敷かれ、
彼女のウィスパーを多用した無機的なボーカルも、このような場面ではそこはかとない艶やかさと茶目っ気のあるボイスとして活かされていまっす!

そんな見事という他ないレベルで、すべてのバランスが最強の1曲☆
キャッチーでありながら洗練されたクール感に溢れ
彼女の一見複雑なキャラクターにものの見事にフィットしてるという意味でも
ハイレベルな片瀬ワークス(って言っちゃっていいでしょう、もう。)でもトップのクオリティーでしょう。
この思わず体が動いちゃう、ワクワク感は
もはや“和製カイリー”をも超越した存在感。

まだ体感したコトがない方、騙されたと思って是非!!


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